News 弊社について 会社情報
.
The bows
Background
Distribution
お客様の声
About us
Service
Deutsche Seiten
English Pages

弊社について

1995122日、オーストリア・アルプスのツゥラッハスキー・リゾートには大雪が降っていました。木造の小さな古いコテージに二人の旧友が集い、紅茶とクリスマスケーキを傍らにトランプをしながら語り合っていました。昔話から始まってコンサルタントとしての最新プロジェクトや将来の夢のことなど話は徐々に盛り上がっていき、ついには白熱した議論にまで発展しました。トランプとケーキを隅に追いやり、ペンと電卓を取り出して、数式やスケッチで紙が一杯になっていきました。そして二人の意見が一致した時、Arcusの弓が誕生したのです。

その二人とは、カーボン・ファイバー複合物の開発と製造に長年携わってきたエンジニア、アンドレアス・ウェッツリンガーと、情熱的なヴァイオリン奏者で発明家、設計者でもあるベルント・ミュージングです。それぞれが、良質の弓づくりを求めてカーボン・ファイバーに注目していたのですが、その長年温めてきたアイデアがついに実現することとなったのでした。

そのコンセプトは軽量で優れた弾力性をもつ弓の実現でした。それは、従来の弓とはかけ離れていたものなので、まったく新しい音質が生まれる可能性を秘めていました。

従来の木製弓を作るつもりはなかったので、あらゆる面から弓を分析し一から作り直す必要がありました。そのためには、湾曲率、直径、逓減率、バランス、強度、弾力性、重量配分、弓毛の弾性などあらゆる要素を組み入れて計算しなくてはなりませんでした。数週間かけて数理モデルを組み立て最初の設計を行い、試作品ができ上がりました。

1996217日、二人はツゥラッハで再会しました。スキーを楽しんだ後、ベルントはヴァイオリンを、アンドレアスは弓の試作品を持ち寄りました。部屋を暖め紅茶を用意して、いよいよ試作品を試すことにしました。コンセプト通り仕上がっているだろうか、弾みすぎてしまうことはないだろうかとどきどきしていました。実を言うと大きくは期待していませんでしたが、従来の技術に甘んじてきた中で、何か大きなものを見過ごしているはずだという確信はありました。ふたを開けてみると、その試作品は素晴らしい音を奏でただけでなく、参考用に持ってきていた比較的良質なフェルナンブーコのフレンチボウをはるかに凌ぐ音質をもっていました。こんなに雑音のない透き通ったヴァイオリンの音を聴いたのは、これまでの人生で初めてのことでした。まるでお菓子屋に連れて行ってもらった小さな子供のように幸せを感じていました。

次々と湧いてくるアイデアを抑えきれず、本職もそっちのけでこの新しいコンセプトの弓づくりの虜になってしまったことも少なくありませんでした。

その後3年間は製作方法の開発や鋳型の設計に費やし、試作品は数十種類におよびました。まったく未知な分野だったので試行錯誤の毎日でした。そんな一歩一歩の積み重ねがついに実を結び、いよいよ発表する時を迎えました。1999年の夏、第一号を20本発売し、2000年にフランクフルトで開催された「ミュージック・メッセ」では、小さなブースではありましたが努力の成果を披露する機会を得ることができました。幸いにも軽食コーナーの隣にブースが設けられたおかげで、軽食をとりに来た多くの人達が我々のブースに立ち寄って弓を手に取り、さまざまな意見や感想を述べてくれました。弓制作の常識にはずれていると言われたこともありました。演奏家はもちろん、業界関係者の方々もあまり偏見をもたずにArcusの弓を試してくれました。もちろん全ての人に気に入ってもらうことはできませんでしたが、展示会が終わる頃には注文書が予約で埋まり、仕事の見通しが立ったのは夢のようでした。

この時以来我々は多くの音楽家、弦楽器製作者やビジネス・パートナーとの交流の中で、色々なことを学んでいます。そこから得た経験や知識を弓づくりに最大限活かしていくことで、さらに良い結果が生まれると信じています。初期のArcusの弓にご満足されなかった方でも、後発モデルを愛用して下さっているお客様もいらっしゃいます。最近スキーをする時間がないのは残念ですが、理想の弓を作るという夢の実現に向けて前進を続けていく限り、アイデアが枯渇することはないと信じています。

トップ